訴 状
平成17年9月30日
東京地方裁判所民事部 御中
原告訴訟代理人弁護士 向 井 千 景
同 坂 井 大 輔
原 告 名 木 田 恵 子
上記訴訟代理人弁護士 向 井 千 景
同 坂 井 大 輔
被 告 株式会社明日絵
上記代表者代表取締役 三 城 誠 子
展示差止等請求事件
訴訟物の価額 61万9000円
貼用印紙額 7000円
第1 請求の趣旨
1
被告は、別紙作品目録記載の絵画を展示してはならない。
2 被告は、原告に対し、金40万円、及び、これに対する本訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。
3 訴訟費用は被告の負担とする。
4 仮執行宣言
第2 請求の原因
1 原告は、株式会社講談社発行の月間少女漫画雑誌「なかよし」の昭和50年4月号から同54年3月号までに掲載された連続したストーリーを有する漫画「キャンディ・キャンディ」(以下、「本件漫画作品」という。)の原作者であり、同漫画について原著作権を有する者である〔甲1〕。
被告は、岡山県倉敷市本町9-30所在の「I©CANDY MUSEUM いがらしゆみこ美術館」(以下、「いがらしゆみこ美術館」という。)の運営を行っている株式会社である〔甲2〕。
「いがらしゆみこ美術館」は、本件漫画作品の作者である漫画家、五十嵐優美子の作品を展示すること等を目的とした美術館であり、同美術館の名誉館長は訴外五十嵐優美子である。
そして、同美術館は、入館に際し、以下の料金を徴収している〔甲3〕。
一 般 大人600円、中高生400円、小人300円
団 体 大人450円、中高生300円、小人200円
2 被告は、平成10年に閉館した「いがらしゆみこ美術館」を引き継ぐ形で新しく本件美術館を建築し、平成12年に大々的に開館し、本件漫画作品の登場人物を描いた絵画の展示等のイベントを行っていた。
当時、原告が、訴外五十嵐優美子に対して、本件漫画作品について原著作権を有することの確認を求める裁判が継続しており、被告もそのことを十分認識していたにもかかわらず、被告は、本件漫画作品の登場人物を描いた絵画の展示等のイベントを継続していた。
その後、平成13年に原告に本件漫画作品についての原著作権があることが最高裁判所の判決により確定した後は、被告は本件漫画作品の展示を前面に出すことは控えていたが、平成17年より、原告に無断で本件漫画作品の原画の展示を再開し、平成17年8月16日ころからは、前記いがらしゆみこ美術館のホームページ(http://www.aska-planning-design.co.jp/museum/museumtop.html)に「原画の入れ替えしました!」として、いがらしゆみこ美術館において、本件漫画作品の「なかよし」に収録されていた表紙絵、及び、登場人物である「キャンディ」等のイラストを展示する旨の掲載を行って〔甲4、5〕、展示の規模を拡大するようになった。
3 前記表紙絵、及び、登場人物のイラストは、本件漫画作品そのもの、または、その複写、もしくは翻案であると認められるところ、前記のとおり、原告は、本件漫画作品について原著作者としての権利を有している。
従って、原告は、本件漫画作品及びこれを複写もしくは翻案した著作物について、本件漫画作品(二次的著作物)の作者と同様、その展示について排他的な権利を有している(著作権法28条、25条)。
4 しかるに、被告は、原告の承諾なしに、前記表紙絵、及び、登場人物のイラストを展示しており、原告の展示権を侵害している。
5 右展示権の侵害による原告の精神的損害についての慰謝料は金10万円を下らない。
また、原告は、上記展示の差し止めのために弁護士に訴訟の代理を依頼したが、その費用は、金30万円を下らない。
6 よって、原告は、被告に対し、本件漫画作品の原著作権に基づき、同漫画作品の原画の展示をしないよう求めるとともに、不法行為に基づく損害賠償請求として、金40万円、及び、訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5パーセントの割合による遅延損害金の支払いを求める。
7 なお、本件事件については、関連事件として、展示差止仮処分命令申立事件(平成17年(ヨ)第22079号)が御庁民事47部に継続しているので、本件事件についても、同部において審理されたい。
証拠方法
1 甲1号証 判 決 文
2 甲2号証 債務者のインターネットホームページ
3 甲3号証 いがらしゆみこ美術館のインターネットホームページ(1)
4 甲4号証 いがらしゆみこ美術館のインターネットホームページ(2)
5 甲5号証 いがらしゆみこ美術館のインターネットホームページ(3)
6 甲6号証 報告書
附属書類
1 訴状副本
1通
2 甲1ないし6号証(写し) 各2通
3 訴訟委任状 1通
4 履歴全部事項証明書 1通