通  知  書

 冠省 当職は、名木田恵子(以下、「通知人」といいます。)の代理人弁護士であり、同氏の依頼により、以下のとおり通知致します。

 貴社は、通知人が平成17年9月30日に貴社を被告として東京地方裁判所に提起した展示差止等請求事件において、平成18年3月24日に通知人との間で裁判上の和解を行い、通知人を「誹謗中傷しない」旨約束されました。

 しかしながら、貴社のホームページからリンクされている「M社長のブログ」において、代表者である三城誠子氏(以下、「貴殿」といいます。)は、以下のとおり、通知人を誹謗中傷する記載を自ら行い、あるいは、そのような記載を承認して掲載しています。

 このような記載は上記和解条項に反するものですので、直ちに記載を削除されるとともに、貴社ホームページにおいて右事実について謝罪されますよう請求いたします。

 本書面到達後5日以内に削除及び謝罪がなされない場合は、当職において損害賠償請求等の法的手続を準備いたします。

(1) 2008年8月11日の「瀬戸の夕日と夏休みの美術館」と題する記事のコメント欄について

 このコメント欄には「筆頭弁護士のM氏て、向井千景弁護士ですか?お気の毒ですが、なんか複雑!!原作者が権利を手に入れたんだったら、その公使のし方までちゃんと教えてあげれば良かったのに。原作者はキャンディだけではなく、顧問弁護士まで削除してしまったのか〜。」という書き込みが掲載されています。

 右コメント欄の書き込みは、「アンソニー」という名前でなされていますが、貴殿のブログでは、貴殿が承認した書き込みのみを表示するようにされていると考えられますので、「原作者(通知人)は、…顧問弁護士まで削除し」たという書き込みは、貴殿の判断で表示されていると理解されます。

 この書き込みは「向井千景弁護士」が亡くなったことを「原作者が削除した」と表現していますが、通知人が向井弁護士の死去に、どのような形であれ影響を及ぼした事実はありません。

 右書き込みは、通知人が向井弁護士の死についてなんらかの役割を果たしているという意味に理解されるものであり、このような書き込みを承認して広く不特定多数人が閲覧できる状態にしていることは、上記和解条項にいう誹謗中傷にあたるだけでなく、通知人に対する名誉毀損罪をも構成するものであると考えます。

 また、同日のコメント欄には、「でも、原作者の水木先生は、『何のために、キャンディを封印しているのでしょうね?』ぜひ、聞いてみてください。先日の赤塚不二夫さんの葬儀の時のタモリさんの弔辞の素晴らしさとのギャップを感じます。」との書き込みが表示されています

 右コメント欄の書き込みも「テリー」という名前でなされていますが、上記同様貴殿の判断により表示されているものと解されます。

 このコメントでも、素晴らしい「赤塚不二夫さんの葬儀の時のタモリさんの弔辞」「とのギャップを感じます」と述べていることから、通知人について、何か「素晴らしくない」ことがあると述べていると理解できます。

 右書き込みは内容が全く論理的でないため、何を以て「素晴らしくない」としているのかは理解できませんが、貴殿が通知人についての悪い評価を記載している書き込みを敢えて承認して表示している事実に違いはなく、通知人に対する誹謗中傷にあたります。

(2) 2010年8月13日の「盆」と題する記事について

 同日の記事に貴殿は、「そう言えば、キャンディの原作者が、30歳になったキャンディが回想すると言うスタイルで、新しいキャンディの小説を出版するそうです。あれだけ、触れるのもイヤで、永久に封印してお墓に持っていくと言っていた『キャンディ』なのに、なぜ再び拘るのでしょうか?30年前のキャンディは、2人の親によって描かれたものですが、今度は片親なのですね。折角なら、またふたりの親で育てて欲しいと思うのは、私だけではなく、美術館に来られているファンはもちろん、往年のキャンディファンは思うのではないでしょうか!?それにしても、わざわざオバサンになったキャンディが、以前のストーリーを回想しなくても、その後のキャンディを書き下ろしてくれた方が、ファンは楽しめるのでは!?そうできない理由があるのかどうか?夏の夜のミステリーかな!?(私感)」と記載しています。

 まず、通知人が「キャンディ・キャンディ」の原作(小説)について「触れるのもイヤで、永久に封印してお墓に持っていくと言っていた」事実はありません。通知人が煩わされたくないと考えているのは、「キャンディ・キャンディ」の漫画についての問題であり、貴殿の上記記載は事実を混同するものです。

 同様に「30年前は…2人の親」、「今度は片親」といった記載も事実関係を無視した不当な表現です。

 さらに「その後のキャンディを書き下ろしてくれた方が、ファンは楽しめるのでは!?そうできない理由があるのかどうか?」と通知人の原作者としての権利に疑義があるかのような記載も、なんら現実の権利関係を無視した記載であり、これらの記載は全体として通知人を貶める誹謗中傷に他ならないと考えます。

(3) 2010年9月11日の「本当は書きたくない事」と題する記事について

 同日の記事に貴殿は、「原作者が残したことが、ここまで波及していて、満足なのですか?」と記載しています。

 この記載は、「書籍のネットショッピングに悪質なレビューを連続で書き込んでいる人がいる事」や「淳子さんのブログにまで嫌がらせが及んで、炎上気味で」あることについて、「原作者」に「満足なのですか」と問うていると理解できますが、ここにいう「原作者」とは、以下のコメント欄の書き込みから通知人を指していると思われます。

 すなわち、上記記事のコメント欄に「キャンディの原作者が、キャンディの続編の上下巻を出版されるそうです。その事がリリースされてから、以前のネット加害者たちがあちこちで、コチラサイドへの、誹謗中傷を繰り返すようになりました。故意なのか?偶然なのか?はたまた、指示なのか?」という書き込みがあります。

 この書き込みをした者の名前は表示されておりませんが、右書き込みが「とき」という名前で貴殿宛に書かれた書き込みに対する回答という形式を取っていることから、貴殿による書き込みであると判断できます。

 このように、貴殿は「書籍のネットショッピングの悪質なレビュー」や「ブログへの嫌がらせ」を、通知人の「故意」や「指示」であると記載しておりますが、このような記載は、なんら事実に基づくものではなく、通知人に対する誹謗中傷に他なりません。

(4) 2010年9月13日の「本当は書きたくないこと:続き」と題する記事について

 貴殿は、同日の記事に「IPアドレス220.158.31.209、124.212.210.49さん」なる者が貴殿のブログに嫌がらせの書き込み等を行っていると記載した上で、「220.158.31.209、124.212.210.49さんの文章力は素晴らしいではないですか。誰ばり書けるものではありません。あなた方が尊敬される、水木杏子先生に勝るとも劣らない文章力だと思います。文体もよく似ています。私には真似が出来ません。」と記載しています

 貴殿のブログからは「IPアドレス220.158.31.209、124.212.210.49さん」が具体的にどのような書き込みを行っているのかは明らかではありませんが、貴殿の言う、“公衆便所の落書き”をしているような者が通知人を「尊敬している」という根拠が示されておりませんし、仮にそのように判断する根拠があるとしても、そのような者に尊敬されていると記載されることは通知人の評価を下げるものでしかありません。また、貴殿が“公衆便所の落書き”と評価する文章について、通知人「に勝るとも劣らない文章力」、「文体もよく似てい」ると評価することは、むしろ通知人の文章力や文体がそのような者と同等であるとしている点で、通知人の評価を下げるものです。さらに、貴殿の記載は、通知人こそが「IPアドレス220.158.31.209、124.212.210.49さん」であるとの疑いがあるかのように理解することができます。

 しかしながら、通知人が貴殿のブログのコメント欄に書き込みをしたり、「淳子さん」のコメント欄に書き込みをしている事実はなく、貴殿の上記記載は、いずれも事実に基づかずに、通知人を誹謗中傷するものです。

 最後に、通知人としては、「キャンディ・キャンディ」の漫画にかかわる問題や、本件のような通知人に対する誹謗中傷(本件ではありませんが通知人の家族に対する誹謗中傷も含みます。)以外では、貴社及び貴殿に対して干渉する考えはありませんし、干渉する必要がある場合には、本通知書のように通知人の名前を明示して行っています。

 貴殿は、貴殿のブログ等に貴殿にとって不快な内容の書き込み等がなされていることについて、通知人の意向に沿ったもの、あるいはさらに進んで通知人の指示によるものであると考えておられるようですが、通知人の貴社及び貴殿に対する考え及び対応は上記のとおりですので、念のため申し添えます。

 なお、本通知書の内容並びに本通知書に対する貴社及び貴殿の対応につきましては、通知人の管理するホームページにおいて公表しますので、予めご承知おき下さい。

 貴社及び貴殿の対応について客観的事実を公表するため、本通知書に対する回答もしくは釈明がある場合は、文書にてご連絡下さい。


 

 2010年10月1日

東京都港区新橋1丁目18番21号 第一日比谷ビル8階

日比谷パートナーズ法律事務所           

通    知    人  名 田  恵  子  

上記代理人弁護士  坂  井  大  輔  

  

被  通  知  人  株式会社明日絵

上記代表者代表取締役  三  城  誠  子  殿