<黒い>報告書について
 
ここに公開する決心をした文書は、一審のいがらし氏の弁護士たちが作成した<報告書>です。
フジサンケイアドワーク、カバヤ、ダンなどの業者にわたっていたこの<報告書>も訴訟を起こさなければ存在もわかりませんでした。
フジサンケイアドワーク、カバヤ、ダンたちはこの<報告書>を信じ<商品化を進めても問題はないのだ>と判断したと言い張っていました。
つまり、<この報告書を信じただけ。自分達に責任はない>といいたかったのです。
けれど、東京地裁は<共同不法行為>としてカバヤ、フジサンケイアドワークの責任、侵害行為を認めました。(アースプロジェクト、タニイ、ダン、サンブライト、いがらしサイドのグッズ判決はまだです。)
フジサンケイアドワークは一審判決を受け入れ罪状を認めましたが、いがらし氏は控訴しました。<カバヤ事件>では、カバヤ、フジアド、いがらし氏は控訴しています。
 
この文書は、いがらしサイド、山崎和義弁護士、熊 隼人弁護士の共同製作でしょう。
本来なら、公開に際しては許可を得るのが礼儀だと思います。
しかし、この<報告書>作成からほぼ3年たち、フジアドの判決もおり、上告中のいがらし氏ともはや<通じるドア>はないと判断、敢えて公開を決意しました。
また、<弁護士>たるものがこのような書面をなんの調査もせず、無責任に業者に配った事をみなさまに見て頂き、<弁護士の在り方>についてもお考え頂く方が大事であるとも思います。
この<報告書>は、法を操れる<弁護士>を味方につければ<詐欺的行為>でさえ可能であるというひとつの証拠でもあるでしょう。
もっとひどい<懲戒免職ものの書面>(カバヤ,塚本弁護士 談)も存在するそうですが、現在はまだ拝見しておりません。
司法関係の方々にも是非お読み頂き、<弁護士が踏み込める範疇><弁護士としてやっていい事と悪い事>についてもお考えいただきいと願っております。
このような<報告書>を作成しても 山崎和義、熊 隼人 両弁護士には<依頼人に頼まれただけ>という<言い逃れ>が用意されています。
 
尚、下記の書面の原本は水木の名前が<名木田>になっていましたが、<水木>に統一させていただきました。
 
 
 
……………
フジサンケイアドワーク
専務取締役  朝井 匡人殿 
                               平成10年4月2日
                            山崎法律事務所
                                                                                      五十嵐優美子代理人
                            弁護士 山崎 和義
                            弁護士 熊  隼人
                            (第一東京弁護士会)
 
 
               報告書
 
                          
漫画「キャンディ・キャンディ」の著作権及び今後の対応について、ご報告します。
 
一 漫画「キャンディ・キャンディ」の著作権について
 
 1 本件漫画の作成経緯からすると、以下の理由により、水木杏子氏にはその参考資料たる著述にしか著作権がないものであり、本件漫画は五十嵐優美子の単独著作物であって、水木氏との共同著作物ではありません。
 
@ 「キャンディ・キャンディ」の題名は、五十嵐が友人との雑談からヒントを得て決定した。
A ストーリーの骨子については、五十嵐が「ローズと七人のいとこ」「赤毛のアン」及び「あしながおじさん」をコンセプトとした具体的な指示を水木氏に与えた。
B 五十嵐は、水木氏が作成した著述をそのまま使用するのではなく、漫画設定にあうようにストーリーを変更し、著述の一部分をカットしたりしている。もちろん、右のようなストーリーの変更、著述のカットには水木氏の同意を得た事はない。
C 登場人物の容姿、顔立ち、髪型、服装、時代設定、時代考証については、水木氏から具体的な指示を得たことはなく,専ら五十嵐の独創による。
D 水木氏が作成した著述は、当初から完結した一つの話として出来上がっていたのではなく、その都度、五十嵐が、担当者を通じて水木氏に漫画のストーリーに合わせるように依頼して作成された。
E 水木氏が、五十嵐氏に対して、漫画の基本的構成や吹き出し部分の台詞について具体的指示を与えたり、右台詞を修正したり、漫画の細部について注文をつけて五十嵐に手直しをさせたことはない。
 
2 近時の判例(東京地裁平成9年3月31日、判例時報1606号、118頁参照)によれば、漫画がそれを描いた者と原作者の共同著作物といえるためには、原作者が基本的構成や吹き出し部分の台詞について具体的指示を与えて、漫画家がその指示通りに漫画を描き、原作者が最終的なチェックをしたいう事実が必用だとされています。
しかし、上記の通り、本件著作物は専ら五十嵐のイニシャチブによって作成されており、水木氏が五十嵐に対して基本的構成や吹き出し部分の台詞について具体的な指示を与えた事実がないのですから、判例上も漫画「キャンディ・キャンディ」が五十嵐と水木氏の共同著作物と認定されることはないと考えます。
そこで、当方は、平成9年11月14日、水木氏に対して著作権不存在確認の反訴を起しております。(東京地裁平成9年ヮ24480号事件)
 
3 なお、平成11年15日の契約書では、漫画「キャンディ・キャンディ」の使用について、水木氏及び五十嵐双方の同意を必要としており、水木氏は右契約を根拠として、本件著作物が水木氏と五十嵐との共同著作物であると主張しております。(注1)
 しかし、上記契約については、先方が当方の企画に対してことごとく反対しているために(注2)、当方は同意権の濫用(著作権法代65条3頁参照)を理由に平成9年7月4日付けの内容証明郵便で契約を解除しており、漫画「キャンディ・キャンディ」を使用するにあたって、水木氏の同意を得る必要はないと考えます。
  なお、上記契約の成立経緯からすると、五十嵐は水木氏に対して漫画「キャンディ・キャンディ」が共同著作物であることを認めたのではなく、水木氏が執拗に商品化に抗議するために、同人にも一定の利益を与えるために契約を締結したようです。上記契約書では、漫画「キャンディ・キャンディ」が共同著作物であるとした文言はありません。(注3)
 
4 仮に、契約の解除が否定されたとしても、漫画著作物の共同使用は五十嵐と水木氏との間で合意されたものです。したがって、裁判において、水木氏の著作権が漫画だけでなく絵に対しても認められない限りは、貴社は、契約当事者でないのですから、その絵の使用にあたって水木氏の同意を得る必要はありません。
また。今回使用(注4)される絵は、漫画本編の中から抜き出された絵ではなく、キャンディ・キャンディが連載されている「なかよし」の表紙、漫画のトビラ、さらには「なかよし」のふろくに書かれていた絵です。したがって、仮にキャンディ・キャンディの著作物さらには漫画の本編内の絵に対して水木氏の著作権が肯定されたとしても、今回使用される絵はストーリーとは全く関係がなく、水木氏の創造性は介入していないので、今回使用される絵に対して同人の著作権が肯定されることは有り得ないと思います。
 したがって、貴社が、今回キャンディ・キャンディの絵を使用するにあたって、水木氏の同意を得なかったとしても、なんら違法ではないのです。
 
 
二 貴社の今後の対応について
 
1 当方では、今まで漫画「キャンディ・キャンディ」の商品化を企画してきました。
   ところが、水木氏の代理人弁護士伊東大祐弁護士は、いまだ水木氏の著作権があることがはっきりしてもいないのに、その度毎に第三者に脅迫めいた抗議をして(注5)、第三者を紛争に巻き込んで迷惑をかけています。
そこで、当方は、先方に対して、@水木氏の著作権の侵害は係属している裁判で請求を拡張するなりして、当方の損害賠償を請求すればよいことであり、第三者には迷惑をかけないで頂きたい、A先方の一方的な主張を第三者に述べるのでなく、裁判所を通じた手段を取って頂きたい、との内容の申し入れをしています。
 
2 今回の企画に対しても、水木氏や伊東弁護士が貴社の取り引き先に抗議の電話をす     
  るなどして、貴社の取り引き先にご迷惑をかけることがあるかと思います。
そこで、大変申しわけございませんが、貴社の取引先に対して、先方が電話で抗議するようなときには、抗議は文書で行なうように言って下さい。               
 というのは、@口頭でのやり取りでは、先方の抗議は強烈かつ執拗に長い時間行われるので、貴社の取り引先に時間を取らせる事になること、A後日先方(注 水木)に対して損害賠償を請求するにあたって、口頭でのやり取りでは、先方の業務妨害行為を証拠付けることができないからです。
 
3 そして、先方が文書で抗議してきたときには、当方にお知らせ下さい。
   当方は、先方に対して、貴社の取引先には責任がないこと、及び損害があるのであれば、当方に損害賠償をするように文書で回答し、貴社の取引先にはご迷惑をおかけしないように十分な配慮をさせて頂きます。
 
4 水木氏は漫画を描いていないことは事実なのですから、漫画「キャンディ。キャンディ」に水木氏の著作権が認められるためには、相当長期の裁判を経なければなりません。
水木氏が、裁判の結果を待たずに、商品の差し止めの仮処分を申し立てたとしても、短期間のうちにそれが裁判所で認められることはまず不可能です。(注6)
したがって、貴社は、先方がいかなる抗議をしようともそれに応じることなく、商品の販売、製造を完遂していただくようにお願いする次第であります。
 
以上
 
 
(注1) 水木が<共同著作>といっていたのは<いがらしさんと二人で作った作品>と
いう思いからです。事件のずっと以前に講談社の顧問弁護士が作成、ファイルしていらした<作品別の法的見解書>を見せて頂きましたが、そこにはもとより<キャンディ・キャンディにおいては”水木杏子は原著作者”>と明記されています。
裁判所でも地裁、高裁とも<原著作者>と判決が下されました。この裁判がわたしにとっていかに無駄な時間であることがご理解頂けるでしょうか。
 
(注2) <巧妙なすり替え>です。水木が<ことごとく反対>したのなら<プリクラも
水木は反対>していたことになります。
この事件が起こる以前から、いがらしサイドからの情報開示はいっさいなされず<ことごとく反対>もできません。しかし、事後、侵害行為を行なった商品に対しては認めるわけにはいかないので<反対>(ここがすり替え)どころか<訴訟>まで起こさなくてはなりませんでした。
(注3) マンガジャパン元顧問弁護士富岡英次弁護士、その後輩、窪田英一郎弁護士
立会人のこの<契約書>は巧みに仕組まれた<契約>であったと思っています。このことについての長年の疑念は、いずれ詳しく書くつもりです。
(注4) にせ版画のこと。
(注5) 侵害行為を<しようとしている>会社に<警告(最初は著作権侵害のおそれが
あるのでお知らせという形になります)><抗議>するのは当然です。
ふしぎなことに<何故、抗議されるのか>と水木サイドに真摯に対応する会社はこの事件では皆無でした。(エステー化学はどちらかというと被害者の立場だと判断していましたが、この件で謝罪された初めての例です。しかし、その後、読者には非礼のままのようで残念です。)
問題点があるから<抗議>するのです。フジサンケイアドワーク、カバヤにしても、<顧問弁護士>がいるというのに調査もせず、水木サイドと話し合いもせず、いがらしサイドに加担、共犯者になっていきました。
 
<脅迫>という言葉のもう一つの意味を知りました。<後ろめたいこと>がある人に対し、質問、抗議、追求するとこの言葉、<脅迫>におきかえられるようです。
この事件の発端、プリクラが発覚した際、混迷する水木に代って夫が<バンプレスト>に日時を約束した上で<プリクラ事件>の経緯を尋ねにいきました。しかし、後日、<バンプレスト>のその担当者が水木の夫に<脅迫>されたといっていることを知りました。<バンプレストの担当者>は逃げの姿勢を貫き、今も<プリクラ事件>は謎が残っています。誠実な対応もしないで、そのようなことをいわれ、夫は現在も<名誉毀損>と憤慨、あきれています。
これも<バンプレスト>に<やましい点>があったからでしょう。
水木の知らない間にプリクラを製造、発覚したときにはもう2ヶ月間も使用していて、TVの<王様のブランチ>雑誌などにも宣伝、掲載されていました。(これが”テストケース”でしょうか? また、プリクラが設置してあったのはいがらし氏が書かれているところの”ショールーム”ではなく<バンプレスト社>があるビルの一階、”ゲームセンター”です。)
当時、わたしが不思議だったのは<プリクラの件>でくわしく質問をする前にそれを封じるように「もうやりません!」とさっさと撤去なさったことです。
プリクラの機械の作成にはかなりの経費がかかったといっておられたのに、とうとう<バンプレスト>は「あらためて契約したい」とは一言もいいませんでした。
その意味が、4年もたって見えてきたと思います。
(注6) これこそ<民事の悲劇>、時間がかかることを計算していたのですね。
フジサンケイアドワークは係争中であるにも関らず、展示会をつづけ<それをみていて安心し、契約した>とカバヤの担当者の陳述書にもありました。
いがらしサイドは<安心させる術>をいろいろ使われ、多くの業者を巻き込んでしまいました。巻き込まれた業者は、哀しい事に<被害者>から<加害者>に変化していってしまいます。
<カバヤ>も裁判中に<あめ>をすべて売りきりました。
裁判に時間がかかることは、裁判所も悪事に加担してしまうという結果になりかねない事を知りました。