まんが編集王事件


このところ 打ちのめされたことのひとつを書く決心がつきました。
ワイド版、まんが<編集王>を読まれた方はもう下記の文をご覧になっていることでしょう。
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<おことわり>
この見開きページは初出時には漫画「キャンディ・キャンディ」のラストシーンが掲載され
ていました。ですが、今回のワイド版の出版に当たりまして、残念ながら係争中を理由に
原作者、水木杏子氏の承諾が得られませんでした。そこで****氏と検討の末、敢えて
このページを白いまま単行本化することにしました。ご了承ください。

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この<おことわり>は確かにその通りです。
しかし、肝腎な<スピリッツ編集部>の不手際ついてはふれていません。

常識的前提として、係争中のものは動かせません。とくにいがらしさんと水木の事件は
<著作権問題>なのです。いがらしさんは<原作者には絵の著作権は及ばない>として
上告中です。いがらしサイドは<判決は未だ確定していない>と水木を否定しておきながら
いがらしメッセージにもあったように<日アメのリメイク>の許諾を求めたり、困惑してし
まいます。本家のいがらしさんがそう言い張っている以上、どんなところが<水木さんを
原作者として遇します>といってきても、またまた わたしは困惑するばかりです。
例外は、もとより契約が継続しているKCコミックスだけだと判断しています。

<編集王>が空白になったのは、<係争中>であったことより以下の事が主な理由です。

1 7〜8年前、雑誌のなかで<編集王>にキャンディが使用されることについての許諾願いを水
木が受けていないこと。(この件はいがらしさんが水木に連絡をしたことになっているようですが
記憶にありません。しかし、その点は曖昧なのでわたしも何もいえません。)

2 しかし、その掲載誌を送ってこなかった事。

3 その後、単行本化されたときも許諾願いはもちろん、本も送ってこなかったこと。

4 したがって水木は全くなにも知らなかった事。

5 それが突然<許諾願い>。聞き及ぶと、7〜8年前の雑誌にいきつき驚く。
単行本化するために印刷所を待たせているほどのギリギリの時間の許諾願いであった。
6 <単行本>という説明だけで、これが<初めての本>という印象をあたえ、水木としては
<初単行本>に傷がつくかもと、作者の心情を気にしたが、すぐに業界関係から<単行本>
はとっくに出ている事を知る。(スピリッツサイドはごまかした訳ではない、と言い張る)
7 今まで許諾を求めてこなかったというのに、間際になって求め、「白いページができると
お互いみっともないですよ」などどいって、わたしを驚かしたこと。
8 熱血まんが編集者を描いているらしい(そのときは見てもいなかったので説明のみ)のに
原作者無視は作品のポリシーと違うと不快だったこと。
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以上の理由です。問題は7〜8年前に(単行本のときでもよい。とにかく事件が起こる前に)
きちんとなさっていればワイド版にはなにも言えなかったのに御自分達の不始末をあの
ような<おことわり>の文にまとめられたことは残念です。業界関係者からの連絡で「まるで
掲載できないのは水木のせいだからね!」といっているような書き方だったという感想は、
あわてて送っていただき(その本さえ送ってこなかったので)その通りだと確認しました。

この件は、わたしの胸の内にと思っていましたがあの<おことわり>を読んで、考えを変え
ました。

ただ・・少し光明が見出せるのは、今まで原作者に許諾を求めることを忘れていた担当者が
間際であっても、許諾願いをしてきた事と思います。
その後、その担当編集者はこのHPも読んでくださったようで少しは原作者の気持ちがおわかり
いただけたかもしれまません。

わたしとしては<大手出版社の漫画編集者>でさえ・・というショックと哀しみは深いもの
があります。まんが作画者の方にもやっと今回の経緯を含めお便りを書けました。