小樽美術館展示裁判の<和解>について
 
 
6月20日<小樽美術館展示裁判>の<和解>が裁判所のご進言により成立しました。
 
<小樽美術館>で7月開催の<展示のみ>水木は許諾しました。小冊子(パンフレット)の図版記載についても、どういったものかはっきりした時点で許可するつもりです。
 
ビジネスを目的とする<山中湖、倉敷の美術館>の<展示>などについては今後、五十嵐氏代理人(本橋光一郎弁護士ら)と話し合っていきたいと思っています。
まずは<今までの情報開示>を請求した上で、今後について<規約(ルール)>の話に至れれば、と思っております。
 
 
 
<小樽美術館展示裁判の経緯について>
 
 
<小樽美術館展示裁判>にについては、五十嵐氏の訴えの内容と、裁判所の受け取り方に相違を感じていたため、今まで様子をうかがっていました。
 
当初、HPのコンテンツに<美術館展示裁判>と記し、<小樽>とつけなかったのは五十嵐氏の申し立てた訴訟(本橋光一郎、下田俊夫 両弁護士)にも<小樽美術館>と記載されていなかったからです。
この訴訟のきっかけは”小樽美術館展示”でしたが、五十嵐氏の申し立ては
 
<すべてのキャンディの登場人物に関しての”展示”と美術館関連の”小冊子”に絵を載せることには、原作者の許可はいらない>
といったものでした。
 
<小樽美術館>はきっかけで、あきらかに<山中湖><倉敷>の美術館での<自由>な展示を目論んだものだと判断しました。たぶん、展示だけに止まらないのでは、とまたトラブルが起きそうな危険をも感じたのです。
裁判所もその危険性を感じられたのか<展示は小樽美術館のみのこと>また<新作絵画の展示は今後、判決によって無理であるが、27年前、連載当時の原画の範囲の展示ならば許可してもいいのではないか>と示唆してくださり、五十嵐サイドに<連載当時の原画の目録>を提出するように命じました。
 
この時点で、裁判所の視点は五十嵐氏の訴えであった<すべての絵の展示の自由>から<小樽美術館のみ>の裁判に切り替わったと思います。
 
<小樽美術館のみでの展示>でしたら、なにも訴訟に持ち込まなくても<話し合い>ですんだことでした。
 
2002年1月半ば当時、小樽美術館の申し出を許諾できなかった理由については、まだ、裁判の多くが係争中であったためです。カバヤ、日本アニメ、業者などの裁判では、最高裁判決が下りているいるにもかかわらず五十嵐サイドは<原作者の著作権を否定>していました。
そういった主張のなかで許諾など出来るはずがありません。(その後、カバヤは控訴を、日本アニメは訴訟を取り下げ、業者裁判も判決がおりました。)
 
また、そのときの<小樽美術館>からの依頼は<奇異>なもので、
<いがらし先生に言われて伊東大祐弁護士に依頼してきた>とのことです。
 
その上、<小樽美術館>は伊東弁護士が許可しなかったことを書面にして、五十嵐氏に渡し、それがこの事件の証拠になりました。小樽美術館の発言が真実なら<訴訟>に利用されることは知らなかったようですが、まるで<訴訟のために証拠作り>のような違和感を今も感じています。
本来<公共の美術館>であるのならば<版元経由>で原作者にも許可願いがきます。今回は五十嵐氏の故郷である北海道ということもあったでしょう、全く<小樽美術館>は公平性を欠いていたと思われます。
 
また、水木が危惧した一因は<小樽>が許可して欲しいといってきた<小冊子>にありました。
 
<小冊子>とはなにか……?
つまりは<パンフレット>のことでしょう。
<小樽美術館>からの<小冊子に絵を載せる>ことへ許可願いの書面で今も腑に落ちないところは、
 
無料で配る<小冊子>には<パンフレット>と記してあるのに、有料(1000円〜700円)については<来館者記念>と同じ小冊子とは思えないような書き方にすり替えられていたことです。有料のパンフレットのことを公共の美術館では<来館者記念>というのでしょうか。
 
<小冊子=パンフレット=カタログ>の許可をしてしまえば、今後、<美術館で販売する雑誌類>をすべて<小冊子>とすり抜けることもできます。
 
これほどまでに相手に対して<信頼>を失ってしまったのだ、と自分でも愕然としています。しかし、もうトラブルは避けたいので疑い深くならざるを得ません。
 
危惧した通り<和解成立>後、下田弁護士から「今後、<キャンディの漫画>を自費出版して美術館で限定販売をしたい」といった五十嵐氏の意向を伺い、かなり驚きました。
 
重ねて、今まで接触もなかった<山中湖美術館>の<七彩社>というところから<展示許可>の依頼がきました。勝手に面談の期日まで決めてきた礼儀のなさ、勝手さに、開いた口がふさがらない思いです。
 
まだ、<今後の話し合い>さえなされていないのにこれが現状です。
 
五十嵐氏の<連載当時の絵(旧作)>を見たいと望んでいるファンもいらっしゃることでしょう。
きちんと規約(ルール)を決め、それを守っていただき実現できたら、と思っております。
 
この<小樽美術館展示裁判の和解>によって、長い間、みなさまをお騒がせした<裁判>はすべて終了したことになります。
ひとつの著作権侵害から、八つも裁判が発生したと言う、たぶん、前代未聞の事件になってしまいました。
ほんとうに、いろいろとご心配をかけました……。
 
すべて終了した……というのに、わたしの気持ちはまだすっきりとはしません。
どうか、もう新しい事件が起きませんように、と祈るばかりです。